ジュラルミンの誕生
ジュラルミンは20世紀初頭に発見された硬くて軽いアルミニウムの合金です。
通常約4%の銅を含みさらに少量のマンガンやマグネシウムを含んでいます。純アルミニウムに比べて強度が高いことから「耐久性(durability)」と「アルミニウム」の合成語である「ジュラルミン」と呼ばれるようになった。
ライト兄弟が空を飛んだ1903年、ドイツにてアルフレッド・ウィルムによって開発されました。ウィルムはアルミニウムに銅を加えて合金化し熱処理を施すと、硬度が大幅に向上することを発見。そしてアルミニウムの軽さを保ちながら、より高い強度を持つ素材、ジュラルミンの誕生につながった。
そしてこの素材は飛行機と全く関係なく個別に生まれましたが、近代航空の発展に重要な役割を果たしました。
例えば20世紀初頭に建造された飛行船「ツェッペリン」のフレームにジュラルミンが使用され、その強度と軽さを活かして、巨大な構造物を上空で維持することが証明されました。そして今の航空機にも、もちろん使われていますし、第二次大戦時のゼロ戦にさえ使われていました。
ジュラルミンの特性と利用
ジュラルミンはその強度対重量比の高さから、工業的・商業的な用途が非常に広い。初期には飛行船のフレームに使用され、その後、航空宇宙工学の多くの分野で使用されている。
また、ジュラルミンは軽量で強度が高いため、キャンプ用品や自転車のフレームなど、アウトドア用品の製造にも使われています。
さらに他にも乗り物全般。自動車産業では軽さと耐久性を両立させる部品としてドアパネルやエンジンフードなどに採用されています。コストの面から高級車の方が使われていることが多いようです。また、飛行機のように頑丈さと軽さが求められる高速鉄道の車体の構造材としても利用されます。
このように多く利用されるジュラルミンですが製造時の取り扱いについては注意が必要です。
ジュラルミンは空気に触れると酸化し、表面に酸化アルミニウムの薄い層ができ、材料の健全性が損なわれることがあるのです。この酸化を防ぐためメーカーは保護膜などの加工を施すことが多いです。
とにかくまとめるならば、アルミニウムの軽さを生かしながら強度を大幅に向上させた優れた素材。それがジュラルミンです。
備考
アルフレッド・ウィルム
ドイツの冶金学者で、アルミニウム合金ジュラルミンの発明で最もよく知られています。
彼は、焼き入れと時効処理後、アルミニウムと銅の合金が著しく改善された機械的特性を示すことを発見しました。ジュラルミンは鋼鉄よりも軽量でありながら同等の強度を有していたため、この発見は航空産業や自動車産業に革命をもたらした。
彼の研究は現代のアルミニウム合金システムの基礎を築いて材料科学に多大な影響を与えました。
ツェッペリン
ドイツの発明者であるフェルディナント・フォン・ツェッペリン伯爵にちなんで名付けられた剛体飛行船です。
この飛行船は当初、第一次世界大戦中の偵察やパトロール任務に使用された。その後、グラーフ・ツェッペリン号やヒンデンブルク号を代表とする民間航空旅行に使用された。ツェッペリンは、ジュラルミンで作られた硬い内部骨組みが特徴で、非硬質飛行船よりもはるかに大きく安定した飛行を可能にしていました。
が、揚力ガスとして水素を使用したため、悪名高いヒンデンブルク号の事故を含むいくつかの大惨事が発生しツェッペリンの時代はほぼ終わりを告げた。
ゼロ戦
第二次世界大戦中に大日本帝國の海軍が運用した戦闘機、三菱A6M零式艦上戦闘機の通称。英語圏風に言うならばゼロファイター。
零戦は登場当時、世界で最も高性能な空母艦載戦闘機のひとつとされ、太平洋戦域のほぼすべての主要な海戦に参加しました。
軽く高い旋回能力で最初は圧倒したが、アメリカ軍の新型機が導入されるにつれて、零戦は装甲の弱さと自己密封式燃料タンクを備えていないため、当初ほど効果を発揮しなくなった。この戦闘機の要となったのがハイパージュラルミンの存在である。
ハイパージュラルミン
ジュラルミンをさらに高強度化し、耐食性を向上させたもの。定義づけは少し曖昧。
ジュラルミンと同様、高強度対重量比が重要な航空宇宙用途や自動車用途でよく使用される。この合金は通常、機械的特性を最適化するために一連の熱処理が施され高応力環境に適している。
超超ジュラルミン
超ジュラルミンとあわせてここでは述べたい。
一言でまとめれば超ジュラルミンは銅、超超ジュラルミンは亜鉛の含有量が高い合金です。もちろんジュラルミンより超ジュラルミンは強度が高く超超ジュラルミンは更に強度が高く、耐食性も高いジュラルミンの頂点ともいえる物質だ。