テフロンって何?
テフロンは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のブランド名です。
非反応性、高融点、低摩擦性で知られる高性能プラスチックです。ほとんどすべての化学物質と反応しないという普遍的な耐薬品性を持つ素材です。焦げ付きにくい調理器具への応用でよく知られていますが、その特性から他にもさまざまな用途に使われています。
テフロンの発明、そしてティファールの誕生
その歴史は偶然の発見から始まります。1938年にデュポン社に勤める化学者ロイ・プランケットは、新しい冷媒を開発しようとしていました。しかし、彼は融点が非常に高く滑りやすい白いワックス状の物質に行き当たりました。後にテフロンと呼ばれるこの物質は1941年に特許を取得し、1960年代にはテフロン加工された焦げ付きにくいフライパンが市販されるようになりました。
ちなみにこのフライパンの発明は偶然の産物でした。あるフランス人の天才ともいえる漁師が魚が絡まないようにテフロンを使って道具をコーティングしていました。そしてその可能性を見出した更に天才の妻がフライパンのコーティングにテフロンを使うことを提案したのです。
そして最初のテフロン加工のくっつかないフライパンは、フランスで「テフロン」と「アルミニウム」を組み合わせた「ティファール」というブランド名で販売されました。これがテフロン加工の調理器具の代名詞ともいえるメーカー、ティファールの誕生です。

料理以外の色々な用途 ゴアテックスもテフロンです
焦げ付きにくい調理器具のほかにさまざまな産業用途に使用されています。電線の絶縁体、シール、ガスケット、ベアリングなど、滑りやすく耐熱性の高い素材が求められるさまざまな部品の製造に使われています。医療分野では、生体適合性と低摩擦性を活かして、カテーテルや縫合糸に採用されています。また、水や汚れをはじく性質があることから、布やカーペットの保護材にも使用されています。自動車産業でも、耐薬品性に優れていることから燃料ホースの漏れを防ぐためにテフロンが重要な役割を担っています。
これを読んでくれているあなたが登山家やスポーツが好きなら、テフロンを使用した「ゴアテックス」をご存じでしょうか。防水ですが湿気を通す驚くべき素材でよく登山グッズに採用されています。さらに、テフロンを使用したテープもあり、配管のシールテープとして使用されています。
テフロンのデメリット
テフロンの非反応性と耐熱性は、一見調理器具に適しているように見えますが、あまり知られていない注意すべき点があります: テフロン加工のフライパンが過熱されると(一般に500°F/260°C以上)、PTFEが分解し始め、有毒なガスを放出する可能性があります。このガスは、発熱と悪寒を伴う一時的なインフルエンザのような状態であるポリマーヒューム熱を引き起こす可能性があります。
また、テフロンの製造に使用される界面活性剤のPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、がんを含むさまざまな健康問題に関連する可能性が懸念される難分解性の有機汚染物質です。しかし、現在ではほとんどのテフロン製品がPFOAを使用せずに作られています。
議論があるところをあげると、美容の世界での使用です。その滑らかさと滑りやすさからテフロンは化粧品に配合されることもあります。化粧品のパウダーに絹のような手触りを与えたり、ヘアケア製品に配合することで櫛で髪を梳くときの摩耗を軽減したりすることができるのです。しかし、化粧品への配合は、健康への影響が懸念されるため、今でも賛否両論があります。
余談
テフロンは月にも行った素材です。1960年代から1970年代にかけて行われたアポロ計画では宇宙船の熱シールドの一部にテフロンが使われていたのです。このように、まだまだこれから先にどこかで応用されることが期待される凄い素材なのです。
備考
ガスケット
一般的に圧縮下にある間、液体や気体の漏れを防ぐために、2つ以上の合わせ面の間のスペースを埋めるメカニカルシールです。一般的にゴム、コルク、シリコーンなどの材料で作られている。自動車エンジン、配管、産業機械など、幅広い用途で使用される。
ベアリング
ベアリングは相対運動を目的の運動のみに拘束し可動部品間の摩擦を減らす部品。ボールベアリング、ローラーベアリング、プレーンベアリングなどさまざまな形があり、それぞれ目的が異なる。ベアリングは自動車、飛行機、産業機器などの機械に不可欠でスムーズな動作を保証する。
ゴアテックス
ウィルバート・L・ゴアとロバート・W・ゴアによって発明されたゴアさんたちのテクノロジーであるゴアテックス。この製品は防水透湿性の繊維膜である。発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製で蒸気は通すが液体の水は通さない微多孔構造を持つ。屋外用の衣服や履物など全天候型の用途に適している。
宇宙船の熱シールド
地球の大気圏に再突入する際に発生する極度の熱から宇宙船を保護するために使用される。高温に耐えられる材料で作られる。再突入時に発生する熱を放散させるため、焼失、つまり徐々に燃え尽きるように設計されている。