フロンはなぜ使われた?
生徒:今環境科学のプロジェクトに取り組んでいてクロロフルオロカーボン、いわゆるフロンというテーマを選びました。
でもフロンが何なのか、なぜ環境に悪いのかを正確に理解するのに苦労してます。
先生: 喜んでお手伝いしますよ。CFC(クロロフルオロカーボン)とは、かつて様々な用途で一般的に使用されていた化合物の一種です。主にヘアスプレーなどのスプレーに使われるエアゾール用推進剤や、エアコンや冷蔵庫に使われる冷媒に使用されています。
生徒:一体どんなメリットがある物質なんですか?
先生:メリットとしては3点。安定していて、毒性がなく、燃えないので人気があったのです。しかし環境に深刻な影響を与えることがわかりました。
生徒:なるほど。
安定していてなぜ悪い?
先生: フロンは非常に安定しているので大気圏下層では分解されません。その代わり、成層圏までゆっくりと上昇し、そこで太陽熱によって分解され塩素原子が放出されるのです。
生徒:諸刃の剣なんですね。その塩素が、オゾン層を破壊するのですか?
先生: はい。直接ではないですが塩素原子はオゾン分子を破壊する反応を触媒することができるのですよ。塩素原子1個が、成層圏から除去されるまでに何千ものオゾン分子を破壊することができるのです。
生徒:自身は変わらないで周りに変化を促す触媒の悪い面が出ているんですね。
ところでオゾン層が重要なのは、紫外線から私たちを守ってくれるからですよね?
先生: はい、オゾン層は、太陽の有害な紫外線のほとんどを吸収しています。この層が破壊されると、より多くの紫外線が地表に届くようになり、人間の皮膚がんや白内障の発症率が高くなります。
また動物、特に植物プランクトンのように水の中や近くに住む動物に害を及ぼす可能性があります。プランクトンが影響を受ければ魚にも当然影響はいきますね。
オゾン層の現状
生徒:人以外にも自然や私たちの食糧についても関わっている訳ですね。でも、私たちはフロンを使うのをやめましたよね?
先生: ええ。オゾン層を保護するための国際条約であるモントリオール議定書が1987年に制定されたことが大きな要因です。
モントリオール議定書は、オゾン層を保護するための国際条約で、フロンを含むオゾン層破壊の原因となる多くの物質の生産を段階的に停止しています。
学生: 効果はあったのでしょうかね?
先生: はい、効果がありましたよ。20世紀後半から大気中のフロンの濃度は減少し、オゾン層は回復の兆しを見せています。国際環境協力の大きなサクセスストーリーの1つです。
学生: それはよかったです。思ったより迅速に効果がでて驚きですね。本日はありがとうございました。
先生: どういたしまして:)
備考
成層圏って?
大気層は幾つもに分けられている。人間が暮らしているのが対流圏であり、その上が成層圏だ。
具体的には高度10000m(10km)ほどまでが対流圏なので、成層圏はエベレストの少し上から始まると考えると想像しやすい?かもしれない。
成層圏は50kmまでなので、厚みとしては対流圏の四倍だ。身近には思えないかもしれないが一番下は飛行機に乗ったことがある人なら入ったことがあるゾーンだ。
といことで地球の大気全体の厚みからすればかなり下側でオゾンの問題は起きていたのである。
モントリオール議定書とは?
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書。
オゾン層破壊の原因となる数多くの物質の生産を段階的に停止し、オゾン層を保護することを目的とした国際条約である。
1987年に採択されたこの議定書は、ほぼすべての国によって批准され、クロロフルオロカーボン(CFC)やハロンなど、数種類のオゾン層破壊化学物質の段階的廃止につながっている。
この議定書は最も成功した国際環境協定のひとつとされている。