プラスチックの歴史とトリビア パークシン、ベークライト、FRPまで
プラスチックってそもそも?
プラスチックは現代生活のほぼすべての場面で不可欠な役割を果たす用途の広い素材群です。
一言で言ってしまえば石油化学製品の樹脂です。
具体的に言うならば、モノマーと呼ばれる小さな分子単位からなる、長鎖の分子であるポリマー、つまり高分子のかたまりです。
このモノマーは通常石油化学製品に由来し、重合と呼ばれる化学反応でプラスチックになるわけです。
プラスチックは熱に対する反応で二つに分けられます。
ずっと硬いままの熱硬化性プラスチックと、溶かして何度でも形を変えることができる熱可塑性プラスチックがある。
プラスチックの特性は、添加剤、充填剤、強化剤の添加や、ポリマーの分子構造の操作など、さまざまな手段で微調整することができます。
パークシン
その起源は19世紀にアレクサンダー・パークスによって発明された最初の人工プラスチック「パークシン」にさかのぼります。セルロース誘導体であるこの素材は、1862年にロンドンで開催された万国博覧会で展示された。
ベークライトに似た合成高分子の一種で耐熱性と電気絶縁性で知られている。高価な象牙の代替品としてビリヤードの球から櫛まで色々と利用されました。
電気部品や産業機械など、高温耐性が要求される用途によく使用されます。また熱硬化性プラスチックであり、加熱固化すると化学変化を起こし硬く剛性が高くなる特性があった。
しかしパークシンは、ハイアットが開発し商業的に成功したセルロイド、そして下記のベークライトの登場によって影に追いやられていってしまうのです。
ベークライト
そして20世紀初頭、1907年。ベルギー生まれのアメリカ人、レオ・ヘンドリック・ベークランドがベークライトを発明し初めて完全な合成樹脂が誕生しました。こちらも名称の由来はベークランドが作った樹脂なのでベークライトです。
熱硬化性のフェノール・ホルムアルデヒド樹脂で、パークシンと同じく非導電性と耐熱性で知られます。この特性と大量生産技術により、電気絶縁体、ラジオや電話の筐体、さまざまな自動車部品や工業部品に最適な素材となりました。
ベークライトは合成成分から作られた最初のプラスチックという点で画期的であり、現代のプラスチック産業の基礎を築いた物質です。
プラスチックの用途
プラスチックはその汎用性と適応性の高さから、さまざまな産業や用途で使用されています。
軽量で耐久性があり、衛生的であることから商品を保護し輸送するための包装に広く使われています。自動車産業では、プラスチックは自動車の軽量化に貢献し、燃費を向上させます。医療分野でも重要な役割を担っており、使い捨て注射器から複雑な医療機器に至るまで使用されています。建設業界では、パイプや断熱材など、さまざまな部品に使われています。そしてもちろんエレクトロニクス分野では、機器の筐体や電線・ケーブルの絶縁にプラスチックが使われています。
一方であまり知られていないのが、再生可能エネルギーの分野でのプラスチックの活躍です。
プラスチック製の太陽電池は、有機太陽電池とも呼ばれ有望な研究分野となっています。有機太陽電池は光電池の一種で、ポリマーや有機低分子などの有機材料を用いて光を吸収し発電する。従来のシリコンベースの太陽電池とは異なり軽量で柔軟性があり低コストで製造できる。デメリットとしては一般的に効率が低く、寿命も短い。そのため有機太陽電池の性能と耐久性を向上させるための研究が進められている。
また、風力発電機の主要部品であるブレードについても、強度が高く軽量な複合材料で構成されておりプラスチックが多く使われています。
FRP
最後に耳にすることも多いと思われる強化プラスチックであるFRPについて。
繊維強化プラスチック(FRP)はポリマーマトリックスをガラス、カーボン、アラミドなどの繊維で強化した複合材料です。
FRPは高い強度対重量比、耐食性、耐久性で知られる。
強化されている反面で複雑な形状に成形することも可能です。そのためこちらも自動車、航空宇宙、橋梁など建築、船体などの海洋分野まで、様々な産業で広く使用されています。