粘度とはそもそも何か?
それは流体の流れに対する抵抗の尺度である。
流体の厚さや薄さ、様々な条件下での動きや挙動に直接影響する。化学的な観点から見ると、粘度は流体内の分子構造と相互作用に影響される。
今回は粘度の両極端を表す物質を見てみよう。
最も粘性の高い物質 ピッチ
ピッチは粘性の高い液体で、どれくらい高いかというと、室温では固体に見えるくらいだ。
ピッチとはアスファルトの一種で、主に炭化水素からなる有機物質の複雑な混合物である。ピッチの正確な化学組成は、コールタールの蒸留から得られるコールタールピッチや、石油加工から得られるアスファルトピッチなど、その供給源によって異なる。
ピッチの粘度は非常に高く短期的な応力下では先述のように固体のように振る舞う。しかし長期的な応力下では非常にゆっくりとではあるが流動する。
この高い粘性の一例は、有名な「ピッチの滴下実験」で実証されている。
オーストラリアのクイーンズランド大学で行われているこの実験は、長期間にわたって漏斗からピッチを滴下するというものだ。
そして1927年の開始以来、滴下の記録はわずか数滴に留まっている。水出しコーヒーだとしたら、カップに貯まる前に、喫茶店で椅子に座って待っている人間側が床に落ちるのが先である。。
用途としてはピッチは防水、シーリング、接着剤として使用されてきた。
現在、屋根材、パイプのコーティング、さらには炭素繊維の製造にも応用されており、炭素含有量が高く、炭化する前に紡糸して繊維にすることができる特質から重宝されている。
最も粘性の低い物質 超流動ヘリウム-4
ではピッチの逆に粘性の低い物質は何か?それは超流動状態のヘリウムである。
超流動ヘリウム4(4He)は、絶対零度に近い温度(2.17ケルビン以下、または-270.98℃以下)で粘度ゼロを示すヘリウムの液体だ。
このような低温では、ヘリウム-4は超流動と呼ばれる量子状態になるのだ。粘性がゼロなことでエネルギー損失なしに液体が流れる能力を特徴とする。
その特徴から小さな空間を抵抗なく流れることができる。古典物理学の予想を裏切って、なんと容器の側面をよじ登って流れ出ることさえ可能だ。
生活に関わるところでは超流動ヘリウム4は超伝導磁石(磁気共鳴画像装置(MRI)で使用されるものなど)の冷却システムに使用されている。
また、量子力学や絶対零度に近い温度での物質の挙動を研究する実験装置などの極低温工学で使用されることもある物質でもある。
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