IMAXはイメージ・マキシマムの頭文字をとったもので、標準的な35mmフィルムのほぼ10倍、従来の70mmフィルムの2倍という驚異的な解像度を誇り、観客に画面への没入感をもたらす技術だ。一言でいえばカナダ発の大画面高解像度の映画システムといえる。
スクリーンの湾曲したデザインは、観客の周辺視野にまで広がり、奥行きのある視覚的錯覚を生み出す。IMAXはフィルムがプロジェクター内を垂直方向ではなく水平方向に流れるという独自の投影方法を採用しており、これによりフレームサイズが大きくなり、したがって解像度が大幅に向上させることができた。
IMAX映画はIMAX専用カメラを使って撮影されている。このカメラは巨大なサイズに拡大しても鮮明なまま高解像度の画像をキャプチャできるように設計されており、IMAX映画の舞台裏で綿密な計画と実行が行われていることを物語っている。
デジタルの普及にもかかわらず、IMAXにはアナログの歴史がある。象徴的な15穴の70mmフィルム・フォーマットは、興味深いことに大阪万博のマルチスクリーン映画「タイガー・チャイルド」で初めて使用されたものだ。
以下、色々なIMAX関連の映画館の備忘録
ぜひ映画館で同じタイトルの映画が色々な技術で幾つかのスクリーンで上映されて迷っているときに読んでいただければと思う。
ドームまたはOMNIMAXは、IMAXフォーマットのバリエーションで、ドーム型のスクリーンに映像を投影するために魚眼レンズを使用するものだ。
ホビットなどの映画で普及したハイフレームレート(HFR)技術も画期的な進歩であり、従来の毎秒24フレームよりも高いフレームレートで画像を表示することで、より滑らかでリアルな動きを実現する。またEclairColor HDRは、色再現、明るさ、コントラストを向上させ、よりリアルで詳細な画像を提供する。
従来の映画館の音響とは対照的に、IMAXシアターは、天井に設置された追加スピーカーを含む独自のラウドスピーカー技術を取り入れ「サラウンド」効果を生み出している。
IMAX with Laserやドルビーシネマで使用されているようなレーザー投影技術は、卓越した明るさ、色域の拡大、コントラスト比の向上を実現し、より鮮明な画像と生き生きとした色彩をもたらすものだ。
IMAXのホームシアター市場への進出は、IMAX Enhanced認証プログラムを通じて、家庭環境におけるオーディオとビジュアルの忠実性を保証する。
ちなみにIMAXではないが競合するようなものにはこんなのが。
ドルビーは、ドルビービジョンのような高度な画像技術とドルビーアトモスのような没入型音響技術を組み合わせ、壮大な映像と音声のシームレスな融合を実現している。ドルビーシネマ、ドルビーアトモスはどちらも音響がとてもよい。ドルビーアトモスとドルビーシネマがあった場合はドルビーシネマの方が設計からこだわっているためにより高い音響体験ができる。画質についてはIMAXの方が一般に上と考えられているが、コントラスト(ざっくり言うと画面のはっきりさ)ではドルビーはIMAXより上である。
バルコ・エスケープ(Barco Escape)は、あまり知られていないが、映画技術へのもう一つの魅力的なアプローチを提示し、観客の周辺視野を埋め尽くそうとするパノラマ的な3スクリーン体験を提供し、映画的没入感を高める別の方法を示している。
ScreenXは、劇場の側壁に映画を拡張することによって270度のパノラマ体験を提供し、重要なシークエンスを包括的なスペクタクルに変えることができる技術である。
4DXテクノロジーは、霧、稲妻、雪などの特殊な環境効果によって4Dシネマを次のレベルに引き上げ、スクリーン上のアクションとシンクロさせることで、観客の五感をフルに刺激するものだ。ある意味家庭用環境で一番できない体験ができるのはこの4Dの技術かもしれない。
RealD 3D技術も特筆すべきもので、人間の自然な奥行きの感じ方にマッチした円偏光を採用し、3D映画をより快適で没入感のあるものにしている。
ソニーのクリスタルLEDディスプレイ技術は、一般的な映画館では一般的ではないが、超微細LEDとソニー独自の技術を組み合わせることで、超大型、1000nitの明るさ、HDRビジュアル、ほぼ無限のコントラスト比を実現し、従来の「映画体験」の理解に挑戦する、従来のスクリーン技術に対する革命的な試みである。
アメリカとカナダに渡る映画館チェーン、シネプレックスのテクノロジーは、同業他社ほど有名ではないが、視覚と聴覚の両方の進歩を活用して、スリリングで全身を使った映画体験を作り出すものだ。D-BOXモーションシート、3Dビジュアル、360°サウンドなどの機能を導入し、強烈にリアルな映画体験をもたらす。
近年の環境の持続可能性を追求する中で、劇場技術の中には、レーザープロジェクターのようなエネルギー効率の高いソリューションに注目しているものもある。
最後に、クローズド・キャプションや視覚・聴覚障害者用の説明的音声トラックなど、映画館における誰もが楽しめるためのアクセシビリティ技術が継続的に改善されていることも注目に値するだろう。
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