全固体電池 実用化できない?いつ出来る?
全固体電池はいつ出来るの?
通常の電池は電解質が液体である。それは電解液などともよばれる。
この電解液を固体に変えたのが全固体電池だ。
また、基本的なことであるが一応言及しておくと通常の電池も全固体電池も正極と負極はいずれも固体である。
タイトルの全固体電池はいつ出来るのかの答えから先に言うと、大手企業の発言などだと2027や2028年が多いので、その辺りの時期が一つの目安になるとは思う。
実際にその頃までに実用化が達成される可能性はあるのかもしれないが、課題はまだ幾つかあり、製造工場などの建設も考えると実用化されたと多くの人が実感するのは2030年前後になるのではないだろうか。
こちらは現行のリチウムイオン電池との比較動画。ビジュアルでわかりやすいかと思う。
全固体電池は実用化できない?4つの課題
新聞やニュースサイトで、全固体電池は実用化出来ないという意見もよく目にすると思う。
では実用化を阻む課題とは何か?具体的には以下の4つの課題が挙げられる。
これらを解決出来れば実用化は可能となるのだ。

界面の接触抵抗
製造には固体電解質と電極間の完璧な界面を確保するために、現状かなり高度でコストのかかる製造技術が必要となる。
不完全な場合、性能の低下や寿命の短縮につながる可能性がある。
クラック
膨張や収縮でのヒビ、いわゆるクラックの発生だ。
電解質として使用される固体材料はもろい。製造時の取り扱いが難しく、電池の機能を損なうクラックが発生しやすい。
イオン電導性
固体電解質は一般的に液体電解質に比べイオン伝導性が低い。
材料や電池構造を最適化しない限り、充放電速度が遅くなる可能性がある。
硫化水素
酸化物を使っている場合は問題はないが、硫化物を使っている場合は水との反応で硫化水素が出る。
温泉ある山などで出るあれだ。これはまずい。
ということで、研究に進展はかなりみられるもののこれらがまだ高い壁となっているのだ。
それぞれの問題についてもっと詳しく知りたい方はこちらを読んでいただければと思う。
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実現不可能と言われる理由の詳解【追記】
1.界面の接触抵抗 ― 固体電解質(SSE)と電極との間の“すき間”が問題になる
SSE(Solid-State Electrolyte、固体電解質)はその名のとおり液体ではなく固体の電解質。これを使うことで安全性が高まり、エネルギー密度(電池にためられる電気の量)も向上すると期待されている。
しかし、上記の通りSSEは電極と完全に密着させるのが難しく界面に“すき間”や“段差”が生じやすい。
こうした不完全な接触があると「界面抵抗」または「接触抵抗」と呼ばれる現象が起きリチウムイオンがうまく通れなくなってしまう。結果として電池の出力や効率が下がり、熱も発生しやすくなります。
これを防ぐためにはナノメートル(10億分の1メートル)単位で材料を加工・コーティングする必要があり、現在、非常に高価で高度な製造技術が求められている。
とくにSSEが硫化物系の場合は、表面反応によって不安定な界面が形成されやすく、それがさらに接触抵抗を悪化させる原因となってしまう。
2.クラック(ひび割れ) ― もろい材料がふくらみ縮みに耐えられない
全固体電池では、電極やSSEにセラミックやガラスのような無機固体材料を使うことが多いですが、これらは非常に硬い一方でもろく、変形に弱いという特徴がある。
リチウムイオン電池は充電・放電のたびに電極材料がわずかに膨張・収縮します。この体積変化にSSEがついていけないと応力(ストレス)がたまりクラック(crack)と呼ばれる微細なヒビが入ってしまうことに。
このクラックがイオンの通り道を断ち切ったり界面を劣化させたると、電池の性能低下や寿命の短縮につながってしまう。
しかもクラックが一度発生すると、それが成長して内部全体に広がる「亀裂伝播」という減少も起こりやすくなる。これを防ぐためにSSEの機械的強度を上げたり、電池の設計を工夫してストレスの集中を避けたりする必要があるのだがいずれもやはり技術的ハードルが高い。
3.イオン伝導性 ― SSEは液体電解質よりリチウムイオンが通りにくい
電池の中で電気を生み出すには、電子だけでなくリチウムイオン(Li⁺)が電極間をスムーズに移動する必要がある。このリチウムイオンの動きやすさのことを「イオン伝導性」という。
現在広く使われている液体電解質(たとえば有機電解液)はイオン伝導性が高く、イオンが水の中のように自由に動けます。しかしSSEは固体なのでイオンは原子のすき間をすり抜けるように移動しなければならないため、どうしても伝導性が下がってしまうというわけである。
特に酸化物系SSE(たとえばLLZO:Li₇La₃Zr₂O₁₂)は化学的には安定していて安全性は高いのだが、構造がかたくてイオンが動きにくいという欠点もある。
逆に硫化物系SSE(たとえばLi₁₀GeP₂S₁₂)は伝導性が液体並みに高いものもありますが、そのぶん後述する別の問題が出てくるのだ。
イオン伝導性が低いと充放電速度が遅くなり、急速充電ができない、パワーが出ない、などの問題につながる。これを解決するにはSSEの材料開発だけでなく、電池全体の構造を工夫する必要がある。
4.硫化水素(H₂S)の発生 ― 空気中の水分と反応して有毒ガスが出るリスク
SSEの中でも特に注目されている硫化物系SSE(Li₆PS₅Clなど)。
こちらは柔らかく加工しやすくしかもイオン伝導性が高いため、期待されている。
しかし大きな問題が1つあるのだ。硫化物は水と反応しやすく、空気中の湿気に触れると硫化水素(H₂S)、つまり毒性のあるガスを発生する。
硫化水素は温泉地などで感じる「腐った卵のようなにおい」の元になるガスで(もちろんおならでもお馴染みかもしれないが。。)、濃度が高ければ人間にとって非常に危険である。
したがって硫化物系SSEを使う場合は製造環境を完全に乾燥・密閉する必要があるし、廃棄時にも慎重な処理が求められる。
この問題は酸化物系SSEを使えば避けることができるが、前述の通り酸化物はイオンが動きにくく、加工もしづらいという別の課題が出てくるのだ。。
少しネガティブに分かってきている課題のみを述べたが、
逆に以上のような問題が解消できたり代替案が見つかれば大幅に進展するともいえる。
課題がわからない状態よりも、研究者さんたちの努力で着実に進歩してきたのが現在の状態ともいえるんじゃないだろうか。
そもそも全固体電池とは?
全固体電池ことAll-Solid-State Battery、ASSB。
この全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に見られる液体やゲルポリマーの代わりに固体電解質を使用する電池だ。
もっと消費者目線で機能的に言うならば、大容量、充電速度も速い。小型化も可能な新時代の電池である。
この材料の根本的な変化は、より高いエネルギー密度、火災や爆発のリスクの低減、高温および低温でのより高い安定性など、いくつかの利点をもたらす。
これらの特性によりASSBは電気自動車(EV)、ポータブル電子機器、大規模エネルギー貯蔵システムへの応用に特に魅力的なものとなっている。以下では詳しくこうしたメリットを見ていきたいと思う。
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全固体電池のメリット
液体電解質から固体電解質への移行は液体電解質の可燃性など、リチウムイオン電池に関連する多くの安全上の懸念に対処するものである。
リチウム金属負極と固体セラミックまたはガラス電解質の組み合わせなどの固体材料の革新は、現在入手可能な最良のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度を2倍にできる可能性を示している。
ASSBと従来のリチウムイオン電池の基本的な違いは電解質材料にある。
従来の電池は、正極と負極間のイオン移動を促進するために液体またはゲル状の電解質を使用している。対照的に、ASSBはセラミック、ガラス、硫化物、または固体ポリマーから作られる固体電解質を採用している。
安全性も高まる。ASSBには可燃性液体電解質がないため従来のバッテリーでは特に熱暴走条件下で顕著なリスク要因であった火災や爆発のリスクが低減される。
液漏れも蒸発もこの電池にはないのだ。このため民生用の電子機器、電気自動車、更には大規模エネルギー貯蔵の安全性が高まることを意味する。
固体電解質を使用することで、電極をより密に充填することができる。具体的には現在のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度を最大50~100%向上させることが可能になるのだ。これは電池寿命の延長につながり同じ容量の電池をより小型・軽量化できることになる。
固体電解質は液体電解質に比べ劣化もしにくいため長寿命になる。
バッテリー全体の寿命を延ばすことができる。消費者にはいいことしかないが、ガラケー時代から電池をデバイスに一体化させたスマートフォン業者は電池の減りによる買い替えがしてもらいずらくなりそうなのでデメリットかもしれない。
特殊な環境化での動作の安定性もあがる。
普段は意識しないメリットかもしれないが、液体のように簡単に蒸発したり凍結したりしない固体電解質の安定性により、今までよりもより広い温度範囲で効果的に作動することができるのだ。
これは下で述べる特殊な環境化でかなりのメリットになる特徴だ。
全固体電池の用途
電気自動車。いわゆるEVだ。
ASSBはエネルギー密度の向上と安全性の改善が重要な電気自動車に特に有望である。事故によるバッテリー発火のリスクを低減しながら、航続距離を延ばせる可能性がある。
ポータブル・エレクトロニクス。
ASSBの高いエネルギー容量と安全性により、スマートフォン、ノートパソコン、その他の携帯電子機器での使用に最適で、使用時間の延長と充電時間の短縮を実現する。
航空宇宙用途。
上記で述べた広い温度範囲での作動というメリットを受けるのがこれだ。ASSBは軽量で極端な温度でも安定しているため、人工衛星やドローンなどの航空宇宙用途に適している。
ウェアラブル技術。
一部の固体電解質のコンパクトなサイズと柔軟性は、ウェアラブル技術の革新的なデザインに適合する、より薄型で軽量なバッテリーの開発に利用できる。
以上の様に、基本的により安全で効率的、より大容量のエネルギー貯蔵ソリューションを提供することで多方面の産業に影響を与える可能性を秘めている。
製造上の課題が克服されれば、ASSBは電池市場の新たな標準となりそれ中心に次世代の電子技術や自動車技術を推進する可能性があるわけである。
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開発、そして製造上の課題
ASSBの商業化における最初のハードルは冒頭でも述べた経時劣化することなく液体システムに匹敵する速度でイオンを伝導できる固体電解質の開発である。
研究は硫化物、酸化物、リン酸塩を含む様々な材料に焦点を当てている。そしてこうした物質はそれぞれ導電性、安定性、製造性において異なるトレードオフを提供する。
生産を拡大する別の課題として製造プロセスもある。
これも最初に述べた通り、固体電解質は脆く加工が難しい。そのため厳しい精度のスケールでの高度に均一性を維持した新しい製造プロセスが必要となる。
現状多くの電池メーカー(またはそうした子会社を持つ電機メーカー)と自動車メーカーが戦略的パートナーシップを結んでいる。
ASSB開発のリスクと利益を共有しているわけだ。自動車メーカーはEV競争における地位を確保するため固体電池技術を専門とする電池会社に投資しているし、逆方向の投資も近年では多くある。電池は今や自動車のコア技術のひとつであり、電池企業は非常に高い存在感を持つようになっているのだ。
そしてより広い視野で見ると全固体電池の商業的展開は地域によって大きく異なる規制の状況をうまく乗り切るかどうかにもかかっている。
電池の安全性、リサイクル、輸送に関する規制はすべて重要な問題だ。ASSBの安全性と信頼性に対する消費者の信頼に後押しされる市場の受容も決定的な要因となるかもしれない。
ASSBの社会への影響
ASSBの潜在的なインパクトは非常に大きい。
特に自動車分野ではASSBの安全性向上とエネルギー密度の向上によって電気自動車の普及が加速し、温室効果ガス排出量の削減にも強く貢献する可能性がある。
一方で民生用電子機器、特にスマートフォンなどでは、より長寿命で高速充電が可能なバッテリーが機器の設計と機能に革命をもたらす可能性がある。
今のスマートフォンの内部のかなりのスペースや重さを電池が占めていることを考えれば、元から小さく軽いものだが遥かに小さく軽くなる可能性があるわけだ。他にもIoT分野についても強い影響があるかと思われる。
こちらの動画でも言っているが高容量で高速充電は期待である。
現行のスマホバッテリーも1年使えば高速充電だけはできるようになるが、その頃にはそれ以上の高速放電もしてくるし…。
ただし必要な材料と新しい製造プロセスは、現在のところ従来のリチウムイオン電池よりも高価であるため、初期導入についてはそうした製造インフラの経済的な問題がネックで制限される可能性はある。
さらに、これらの新素材の長期的な性能とリサイクル性は、実際の用途でまだ十分に証明されていない。
太陽光発電などでもこうしたリサイクル可能性や環境影響のことが普及後に問題となっているが、全固体電池に大きな期待や希望を抱く一方で軽視してはならない問題でもある。
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