- 【9人の世界の有名数学者たち】フェルマーに答えたワイルズ、ポワンカレに答えたペレルマン
- アンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles, 1953-)
- リチャード・ボーチャーズ(Richard Borcherds, 1959-)
- ゲルト・ファルティングス(Gerd Faltings, 1954-)
- ヴォーン・ジョーンズ(Vaughan Jones, 1952-2020)
- ジャン・ブルゲン(Jean Bourgain, 1954-2018)
- マキシム・コンツェビッチ(Maxim Kontsevich, 1964-)
- ローラン・ラフォルグ(Laurent Lafforgue, 1966-)
- ウラジーミル・ヴォエヴォツキー(Vladimir Voevodsky, 1966-2017)
- グリゴリ・ペレルマン(Grigori Perelman, 1966-)
【9人の世界の有名数学者たち】フェルマーに答えたワイルズ、ポワンカレに答えたペレルマン
アンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles, 1953-)
アンドリュー・ワイルズはイギリス出身の数学者で、350年以上未解決だったフェルマーの最終定理を証明した偉業で世界的に知られている。
フェルマーの最終定理とは、「3以上の自然数nに対して、x^n + y^n = z^nを満たす正の整数x, y, zは存在しない」という命題である。
1994年にワイルズは代数幾何学、整数論、モジュラー形式(楕円関数の一般化で、複素数の上半平面で定義される特殊な関数)の高度な概念を駆使した証明を発表した。
彼の画期的なアプローチは、楕円曲線(y^2 = x^3 + ax + bの形で表される曲線)とモジュラー形式を結びつける谷山-志村-ワイル予想(現在はモジュラー性定理)を部分的に証明することでフェルマーの最終定理を導くというものだった。
証明には7年間を要し、その過程で一度は不備が発見されたが、1995年に完全な証明が完成された。この業績により1998年にフィールズ賞特別賞を受賞。現在もプリンストン大学で研究を続けており、彼の手法は現代数論の発展に大きな影響を与え続けている。
リチャード・ボーチャーズ(Richard Borcherds, 1959-)
南アフリカ生まれのイギリス系数学者で代数学と幾何学の研究において革新的な貢献をした。
特に頂点代数(無限次元の代数構造の一種)、無限次元リー代数(対称性を記述する代数構造)、群論の分野で重要な発見をした。
ボーチャーズの最も有名な業績は「モンストラス・ムーンシャイン」と呼ばれる現象の解明である。これは、群論における最大の散在単純群である「モンスター群」(約8×10^53個の元を持つ巨大な群)と、数論におけるモジュラー関数(複素数の上半平面で定義される特殊な関数)の係数との間に存在する神秘的な一致を指す。
この一見無関係な分野間の深いつながりを数学的に厳密に証明するため、ボーチャーズは頂点代数という新しい代数構造を導入した。この画期的な研究により1998年にフィールズ・メダルを受賞。現在もカリフォルニア大学バークレー校で研究を続けており、彼の理論は数学と物理学の境界領域で重要な役割を果たしている。
ゲルト・ファルティングス(Gerd Faltings, 1954-)
ゲルト・ファルティングスはドイツの数学者。代数幾何学と数論の研究において画期的な貢献をした。
最も有名な業績は、1922年にルイス・モルデルによって提唱された「モルデル予想」の証明である。この定理は現在「ファルティングスの定理」として知られている。
モルデル予想とは、「数体(有理数体の有限拡大)上で定義された、種数(トーラス状の穴の数に相当する位相不変量)が2以上の代数曲線は、有限個の有理点しか持たない」という命題である。これは、高次のディオファントス方程式(整数係数の多項式方程式の整数解を求める問題)の解の個数に関する根本的な問題だった。
1983年にファルティングスがこの予想を証明したことで、古典的な数論の多くの問題が解決された。特に、フェルマーの最終定理の証明への道筋を示すなど、後の数論研究に大きな影響を与えた。この業績により1986年にフィールズ・メダルを受賞。現在もマックス・プランク数学研究所で研究を続けており、数論幾何学の発展に貢献している。
ヴォーン・ジョーンズ(Vaughan Jones, 1952-2020)
ニュージーランド出身の数学者で、フォン・ノイマン代数(関数解析の一分野)と結び目理論の研究で知られる。彼の最も重要な貢献は、1984年に発見した「ジョーンズ多項式」である。
結び目理論とは、3次元空間内の閉じた曲線(結び目)の分類や性質を研究する数学分野である。ジョーンズ多項式は、結び目を区別するための数学的道具(結び目不変量)で、従来の方法では区別できなかった結び目を判別できる革新的な手法として注目された。
この多項式の発見により、結び目理論と低次元トポロジー(3次元以下の空間の性質を研究する分野)の間に予期せぬつながりが明らかになった。さらに驚くべきことに、ジョーンズ多項式は統計力学における厳密解モデルや場の量子論においても深い意味を持つことが判明し、数学と物理学の境界を越えた重要な発見となった。
この業績により1990年にフィールズ・メダルを受賞。カリフォルニア大学バークレー校やヴァンダービルト大学で長年研究を続け、2020年に逝去するまで数学の発展に貢献した。
ジャン・ブルゲン(Jean Bourgain, 1954-2018)
ベルギー出身の数学者で、解析学の幅広い分野において卓越した貢献をした。
特にバナッハ空間理論(無限次元の完備な線形空間の研究)、エルゴード理論(力学系における統計的性質の研究)、調和解析学(フーリエ解析の一般化)、線形・非線形偏微分方程式の理論で革新的な成果を上げた。
ブルゲンの特徴は、一つの分野に留まらず、異なる数学分野間のつながりを発見し、新しい手法を開発することだった。
例えば彼はバナッハ空間の幾何学的性質を調べるために、確率論や組合せ論の手法を巧みに組み合わせた。また、非線形シュレーディンガー方程式などの偏微分方程式の解の存在や一意性を、調和解析学の深い理論を用いて証明した。
特に重要な業績として、「制限予想」と呼ばれる調和解析学の基本問題の部分解決がある。これは、フーリエ変換の性質に関する深い問題で、その解決には独創的な幾何学的洞察が必要だった。エルゴード理論における平均収束定理の証明でも画期的な成果を上げた。
1994年にフィールズ・メダルを受賞し、プリンストン高等研究所で研究を続けた。2018年に逝去するまで、数学の最前線で活躍し続けた偉大な数学者である。
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マキシム・コンツェビッチ(Maxim Kontsevich, 1964-)
ロシア出身でフランスで活動する数学者。
代数幾何学、シンプレクティック幾何学(物理学のハミルトン力学と関連深い幾何学)、数理物理学の分野で革命的な貢献をした。
コンツェビッチの最も重要な業績の一つは「ホモロジー的鏡対称性予想」の定式化である。これは、シンプレクティック幾何学と代数幾何学という一見無関係な分野を深く結びつける予想で、弦理論における「ミラー対称性」という物理現象の数学的基礎を与えた。
変形量子化の理論においても画期的な成果を上げた。これは、古典力学から量子力学への移行を数学的に厳密に記述する理論で、コンツェビッチは「星積」と呼ばれる新しい積構造を用いてこの問題を解決した。
また、「グラフコホモロジー」という新しい理論を発展させ、結び目不変量の研究にも重要な貢献をした。これらの成果は、数学の純粋な理論でありながら、弦理論や場の量子論などの物理学との深いつながりを示している。
1998年にフィールズ・メダルを受賞し、現在もフランス高等科学研究所で研究を続けている。彼の理論は現代数学と理論物理学の境界を曖昧にする重要な役割を果たしている。
ローラン・ラフォルグ(Laurent Lafforgue, 1966-)
ラフォルグはフランスの数学者で、整数論と代数幾何学の研究において画期的な成果を上げた。
特に「ラングランズ・プログラム」と呼ばれる数論と表現論(群の対称性を行列で表現する理論)を統一する壮大な研究計画において重要な貢献をした。
ラフォルグの最も重要な業績は、関数体(多項式の体)上の一般線形群に対するラングランズ予想の証明である。ラングランズ・プログラムは、数論における最も深遠な問題の一つで、異なる数学分野間の予想外のつながりを予言している。
具体的には、ラフォルグは「ドリンフェルト・シュタック」という新しい幾何学的対象を用いて、関数体上で定義されたガロア表現(数体の対称性を記述する表現)と、自己同型形式(一般化されたモジュラー形式)との間の対応関係を証明した。
この証明は、代数幾何学の最先端技術を駆使した極めて技術的なものだった。
この業績によって2002年にフィールズ・メダルを受賞。
現在もフランス高等科学研究所で研究を続けており、数論の統一理論の構築に向けた研究を行っている。彼の成果は、リーマン予想などの古典的な数論問題の解決への道筋を示す重要な意味を持っている。
ウラジーミル・ヴォエヴォツキー(Vladimir Voevodsky, 1966-2017)
ロシア出身の数学者で、代数幾何学とホモトピー理論(位相空間の変形に関する理論)の研究において革命的な貢献をした。特に「動機コホモロジー」と「A¹ホモトピー理論」という新しい理論を創始した。
ヴォエヴォツキーの最も重要な業績は1996年に提唱された「ミルノア予想」の証明である。
これは体の乗法群のK理論(代数的構造の研究)に関する予想で、30年以上未解決だった難問だった。彼は自ら開発した動機コホモロジー理論を用いてこの予想を証明した。
動機コホモロジーとは、代数多様体(多項式方程式で定義される幾何学的対象)に対する新しいコホモロジー理論で、従来の手法では扱えなかった問題を解決可能にした。A¹ホモトピー理論は、代数幾何学にホモトピー理論の手法を導入する画期的な理論である。
2002年にフィールズ・メダルを受賞した後、数学の基礎論にも関心を向け、「ホモトピー型理論」という数学の新しい基礎を提案した。
これは従来の集合論に代わる数学の基礎として注目を集めている。
2017年に逝去するまで、プリンストン高等研究所で研究を続け、数学の根本的な問題に取り組み続けた天才数学者である。
グリゴリ・ペレルマン(Grigori Perelman, 1966-)
グレゴリ・ペレルマンはロシアの数学者で、20世紀最大の数学難問の一つとされた「ポアンカレ予想」を証明した偉業で知られる。
ポアンカレ予想はクレイ数学研究所が設定した「ミレニアム懸賞問題」の一つで、100万ドルの懸賞金が設定されていた。
ポアンカレ予想とは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面と位相同型である」という命題。
より平易に言えば「3次元空間において、表面に穴のない閉じた形状は球と本質的に同じである」ということを意味する。
これは位相幾何学(図形の形状を連続変形で保たれる性質で分類する分野)の基本的な問題だった。
2002年から2003年にかけて、ペレルマンは3本の論文をインターネット上に発表し、ポアンカレ予想の証明を示した。
彼の証明はリチャード・ハミルトンが開発した「リッチ流」という微分幾何学の手法を発展させた「リッチ流の特異点解析」という革新的な技術を用いていた。
この画期的な業績により、2006年にフィールズ・メダル、2010年にミレニアム賞が授与されたが、ペレルマンは両方の栄誉と賞金を辞退した。現在はサンクトペテルブルクで隠遁生活を送っており、数学界最大の謎の一人となっている。もちろん大金の懸賞金もである。
おそらく世界のどの名門大学でも名誉教授となれそうな実績だが職さえも辞して平凡に暮らしている。もしかしたら教える時間を惜しんで自宅で一人、重要な研究を行っているのかもしれないし、人類にとって大変な貢献をしたその余生を普通の人間として楽しんでいるのかもしれないが、全ては憶測である。
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